教室リノベーション 1 'モノ再生'
都内休校中の学校の教室一室を、デザインオフィスにリノベーションするというプロジェクト。
教室は1階部分の柱梁フレームが特徴的な外廊下に面しており、広さはその柱梁1スパン分4.2m×7mのおおよそ30㎡ほどのワンルーム空間である。特別な配慮により、校舎内に残され使われなくなった学校の"モノ"を再利用することができた。かつての教室を、長い間使われることもなくその輝きを失ってしまっている"モノ"に焦点を当てて、それらをうまく再生させることで、その古さを最大限に生かした空間作りを目指した。オフィスのファザードにはモザイクタイルを貼り、また天井高さが2.7mとゆとりのある内部は、壁と天井を白で統一し、床は古い床材をそのまま利用すべく何度も磨き上げた。簡素でありながらも味わい深い空間が広がっている。
「プロジェクトの背景」について
少子化問題が深刻化していく中で、全国各地で廃校・休校に追いやられる学校は後を断たない。廃校・休校に追いやられた学校の校舎は有効利用されることもなく、人影もない廃墟と化している。残された建築ストックを廃墟のままにしているその姿は、もはや地域のシンボルとしての役割を担ってきた学校の面影をもたないでいる。そのような状況の中で、今現在必要なことは学校をむやみに建て壊したりするのではなく、使われなくなった校舎を有効活用し、新しい息吹を吹き込むことではないだろうか。新しい息吹を吹き込むことで、残された建築ストックを再生せることがとても重要であろうと思う。そのようにして再生された学校が、ゆくゆくは新たな地域のシンボルとしての姿を取り戻すことを願っている。