枝川の小学校 Vol1
■ 建物概要について
東京都江東区に全校生徒100人前後、1学年1クラスを想定し計画された私立の小学校である。規模は、鉄骨造2階建て述べ床面積1300㎡の小さな学校である。子供たちが自発的に学べるような空間づくりを意図し、<子供たちが主人公の学校>となること、そして、地域の方々の集いの場となることを目指した。また、本建設事業はたくさんの支援者の方々による基金により実現された。アプローチゲートにある「希望の壁」には、全ての支援者の思いを込めたタイルの壁画が設置され支援者の名が刻まれている。
■ 景観形成・配置計画
開かれた学校を目指し、周辺には高い塀などを設けず植栽によって柔らかな景観になるよう配慮した。また、外壁の仕上げは1階と2階により素材、色ともに対照的なものを選定し、その間に連続したH鋼庇を設けた。左官と金属板、赤と白がより対比されることにより、それぞれの良さを生かしつつ全体としてスケール感を抑えた特徴的なデザインとした。また、予算削減を目標に、既存校舎を利用しつつ建設工事を行える変則L型のような配置計画を採用し、前広場を設けた。L型先端部に配した記念碑的な「希望の壁」を横手にアプローチゲートをくぐると、その前広場に出る。様々な活動が行われる前広場には、学校の伝統と歴史を引継ぎ末長く伝えていくものとして既存樹(桜の木 合計8本)の移植を行った。
■ 中心としてのホール
ホールの天井高を利用し、1階と2階の教室群をこのホールの空間と一体になるように計画した。ホールは、1階では教室から直接出入ることができ、2階の教室とはギャラリーを介して立体的に繋がっている。大きさはミニバスケットボールライン12m×22mを基準としており、元気な子どもたちにとって、躍動感があふれた屋内広場(体育室)となっている。お互いの気配を身近に感じることができる学校の中心的なスペースであり、最も公共性の高い空間ということで、地域社会にとって防災上の拠点となることも意図した。